【 鯉にまつわる伝説】
その昔、山西省、江西省の省境を流れる黄河の氾濫をくい止めた功績を認められた「う」は後に「夏」という国(この国は殷の前にできた国だから三千五百年以上も前の話)を建てたが、彼が治水した黄河の急タン(竜門)を遡った鯉が昇天し龍になったという伝説があります。
この伝説から後漢の終わりころ出世する関門を登竜門と呼ぶようになり、鯉は縁起の良い魚となりました。
「川魚の長」といわれる鯉は、日本人にとって昔からめでたい魚。祝儀の席には必ず出たものでした。
鯉の別称を六々魚と言い、中国に「六々変じて九々鱗となる」という諺があります。
「中国大陸を流れる黄河は、その源を遠く崑崙山脈の奥に発し、積石山を経て竜門に至る。奔流すこぶる急で、鯉のみが見事竜門を登り、九々鱗つまり竜になるという」・・・有名な登竜門伝説のことです。
これが古くから日本にも伝えられ、鯉にあやかって男の子の節句に、鯉のぼりが立てられるようになりました。
また鯉は決して共食いしない習性も、日本では縁起ものとして重宝されている理由です。
【鯉のことわざ】
● 鯉の滝登り
立身出世することのたとえです。中国の古書『三秦記』には、黄河の中流にある竜門を、魚たちが争って登ろうとしていずれも失敗したが、鯉だけがこの急流を一気に駆け登り、天まで登って竜と化したとあります。これが「登竜門をくぐる」の語源ともなったそうです。
● 俎上(まないた)の鯉
まな板の上で、いままさに料理されようとしている鯉のことで、絶対絶命のピンチにあって、自分ではどうしようもない運命をいいます。また、度胸がいいことにもたとえます。
● 生贅(いけす)の鯉
生簑の中の鯉で、自由にならない身の上をたとえていいます。
● 鯉のー跳ね
鯉は捕らえられると、一度だけ跳ねるが、まな板の上にのせられると、観念してじっとしているという意で、あきらめがいい、いさぎよいことをたとえていいます。
● 浅みに鯉
手づかみでも採れる鯉のことで、もっけの幸いという意です。
● 麦飯で鯉を釣る
ちょっとの元手で大儲けすることのたとえで、「蝦で鯛を釣る」と同じです。
● 及ばぬ鯉の滝登り
いくら力んでみても、とても出来ないことのたとえで、鯉を恋にかけて多く使われます。
● 鯉が躍れば泥鯖(どじょう)も躍る
鯉の跳ねるのを見て、泥鯖もその真似をするという意で、分不相応なものが、優れた人の真似をすることをたとえていいます。
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